
土地購入時のつなぎ融資とは?住宅ローンや金利諸費用の流れも解説
土地を購入し家を建てる際、「つなぎ融資」という言葉を耳にしたことはありませんか。土地の契約や住宅の着工前に資金が必要になるなど、多くの方が戸惑うことの多い仕組みです。
本記事では、つなぎ融資の基礎知識から実際の利用の流れ、金利や諸費用、さらにはハウスメーカー選びとの関係まで分かりやすく解説します。
後悔しない土地探しのため、ぜひ最後までお読みください。
①つなぎ融資とは?その役割と必要性

住宅を購入する際、特に注文住宅を建築する場合や住み替えを検討している際に、「つなぎ融資」という言葉を耳にすることがあります。これは、住宅ローンが実行される前に必要となる資金を一時的に借り入れるための融資です。
具体的には、土地の購入代金や建築費用の着工金・中間金など、住宅ローンが実行される前に発生する支払いに対応するために利用されます。住宅ローンは通常、建物の引き渡し時に実行されるため、それまでの期間に必要な資金を自己資金で賄えない場合、つなぎ融資が必要となるのです。
つなぎ融資が必要となる具体的なケースとして、以下のような状況が挙げられます。
- 注文住宅の建築:建築前に土地を購入し、工事の進行に合わせて着工金や中間金を支払う必要があります。これらの支払いは住宅ローン実行前に発生するため、つなぎ融資を利用して資金を調達します。
- 住み替え時の新居購入:現在の住居を売却する前に新居を購入する場合、売却資金が手元にない状態で新居の購入資金が必要となります。このような場合、つなぎ融資を利用して新居の購入資金を確保します。
つなぎ融資を利用する際のメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 自己資金が少なくても住宅の建築や購入が可能となる。 | 金利が住宅ローンより高く、利息負担が増える可能性がある。 |
| 売却を待たずに新居の購入が可能となり、タイミングを逃さずに物件を取得できる。 | 手数料や印紙代などの諸費用が発生する。 |
| 金融機関によっては抵当権の設定が不要な場合があり、手続きが簡略化される。 | 住宅ローン控除の対象外となるため、税制上の優遇措置を受けられない。 |
つなぎ融資は、住宅購入や建築の際に資金繰りをスムーズにするための有効な手段ですが、金利や諸費用などの負担も考慮する必要があります。
利用を検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、資金計画を立てることが重要です。
②つなぎ融資の利用の流れと手続き

つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの間、必要な資金を一時的に借り入れるための制度です。以下に、つなぎ融資を利用する際の一般的な手続きの流れを説明します。
まず、全体の資金計画を立て、土地購入費や建築費などの総予算を把握します。その上で、自己資金と住宅ローンの借入額を決定し、つなぎ融資が必要となるタイミングと金額を明確にします。
次に、住宅ローンを申し込む金融機関を選定し、その金融機関がつなぎ融資を取り扱っているか確認します。取り扱いがない場合は、別の金融機関でつなぎ融資を検討する必要があります。
住宅ローンの仮審査が承認された後、建物や土地の契約を締結します。その後、住宅ローンの本審査を申し込み、併せてつなぎ融資の申し込みと審査を行います。
つなぎ融資の審査が承認されると、金融機関とつなぎ融資の契約を締結し、設定したタイミングでつなぎ融資が実行されます。これにより、土地代金や建築費の支払いが可能となります。
建物が完成し、引き渡しが行われると、住宅ローンが実行されます。その資金でつなぎ融資を一括返済し、以降は住宅ローンの返済を行っていきます。
つなぎ融資を利用する際には、以下の書類が必要となることが一般的です。
| 必要書類 | 内容 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証やパスポートなどの身分証明書 |
| 借入申込書 | 金融機関指定の申込用紙 |
| 収入証明書 | 源泉徴収票や確定申告書など |
| 土地・建物の契約書 | 売買契約書や工事請負契約書 |
| 建築確認済証 | 建築基準法に基づく確認済証 |
つなぎ融資の審査では、以下の点が重視されます。
- 契約内容の確認:土地や建物の契約内容が適正であるか。
- 申込者の信用力:収入や勤務状況、他の借入状況など。
- 返済能力の確認:住宅ローンの審査結果や資金計画の妥当性。
つなぎ融資を利用する際の注意点として、以下が挙げられます。
- 金利が住宅ローンより高めであること。
- 融資額や回数に制限がある場合があること。
- 対応している金融機関が限られていること。
これらの点を踏まえ、つなぎ融資の利用を検討する際は、事前に金融機関と十分に相談し、計画的に進めることが重要です。
③つなぎ融資にかかる金利と諸費用の詳細

つなぎ融資を利用する際には、金利や諸費用が発生します。これらの費用を正確に理解し、適切な資金計画を立てることが重要です。
まず、つなぎ融資の金利は、一般的に住宅ローンよりも高めに設定されています。多くの金融機関では、年利2%から4%程度が相場とされています。これは、つなぎ融資が無担保で提供されるため、リスクが高いと判断されるからです。例えば、年利3%で1,000万円を3ヶ月間借り入れた場合、利息は約7.5万円となります。
次に、つなぎ融資を利用する際に発生する主な諸費用を以下の表にまとめました。
| 費用項目 | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 融資手続きに伴う手数料 | 約10万円 |
| 印紙代 | 契約書に貼付する収入印紙代 | 借入額に応じて1万円~2万円 |
| 保証料 | 保証会社への支払い | 融資額の0.1%~0.5%程度 |
これらの諸費用は、金融機関や融資条件によって異なる場合がありますので、事前に確認が必要です。
金利や諸費用を抑えるためのポイントとして、以下の点が挙げられます。
- 融資期間を最短に設定することで、利息の総額を減少させる。
- 複数の金融機関の条件を比較し、最適な金利や手数料を選択する。
- 自己資金を増やし、借入額を減少させることで、利息や手数料の負担を軽減する。
これらの対策を講じることで、つなぎ融資にかかる費用を効果的に抑えることが可能です。
④ハウスメーカー選びとつなぎ融資の関係性

注文住宅を検討する際、ハウスメーカーの選定は非常に重要です。特に、つなぎ融資の利用においては、ハウスメーカーの方針や支払いスケジュールが大きく影響します。
以下では、ハウスメーカー選びがつなぎ融資に与える影響や、スムーズな手続きを進めるためのポイントについて解説します。
ハウスメーカー選びがつなぎ融資に与える影響
ハウスメーカーごとに、建築費用の支払いタイミングや割合が異なります。一般的には、着工時や中間時に建築費の一部を支払うケースが多いですが、ハウスメーカーによっては、契約金のみで着工し、残金を引き渡し時に一括で支払う場合もあります。例えば、あるハウスメーカーでは契約金として50万円のみを必要とし、残りは引き渡し時に支払うケースも報告されています。
このように、ハウスメーカーの支払い条件によっては、つなぎ融資が不要となる場合もあります。そのため、ハウスメーカー選びは、つなぎ融資の必要性や条件に直接影響を及ぼします。
つなぎ融資をスムーズに進めるためのハウスメーカーとの連携方法
つなぎ融資を円滑に進めるためには、ハウスメーカーとの密な連携が不可欠です。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 支払いスケジュールの確認:ハウスメーカーと契約前に、建築費用の支払いタイミングや割合を詳細に確認し、つなぎ融資が必要となる時期や金額を明確にしておきます。
- 金融機関の選定:つなぎ融資に対応している金融機関は限られているため、ハウスメーカーが提携している金融機関や、つなぎ融資の取り扱いがあるかを事前に確認します。
- 必要書類の準備:つなぎ融資の審査には、建築請負契約書や設計図面などの書類が必要となるため、ハウスメーカーと協力して早めに準備を進めます。
ハウスメーカー選びの際に確認すべきつなぎ融資に関するポイント
ハウスメーカーを選ぶ際、つなぎ融資に関して以下の点を確認すると良いでしょう。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 支払い条件 | 着工金や中間金の有無、支払い割合やタイミングを確認します。 |
| 提携金融機関 | つなぎ融資に対応している金融機関との提携状況や、金利・手数料の条件を確認します。 |
| 手続きサポート | つなぎ融資の手続きや必要書類の準備に関して、ハウスメーカーがどの程度サポートしてくれるかを確認します。 |
これらのポイントを事前に確認し、ハウスメーカーとしっかりと連携を取ることで、つなぎ融資の手続きをスムーズに進めることができます。
⑤まとめ

土地の購入や家づくりを進める中で「つなぎ融資」は重要な役割を果たします。特に建物完成前にまとまった資金が必要になる場面で安心して資金計画を立てるための手助けとなる制度です。
金利や諸費用が発生する点や、ハウスメーカーとの連携方法、利用時に注意すべき書類や審査基準など、初めての方が不安を感じやすいポイントも多くあります。
しかし流れを知り、事前の準備をしっかり行うことで無用なトラブルも回避できます。確実な情報を得て、納得のいく選択をしていきましょう。
